アダム&アダムはSFではなく感動の家族ものとして面白い

ネットフリックスで現在国内一位で、渋谷に大きな広告も出ているアダムとアダム(原題:The Adam Project)を観た。

正直すごく好きだったし、面白かった!

けれど、多分万人に、というか、あらすじや予告編を観た人たち全員が満足できる作品ではまったくないと思ったので、ぼくがこの映画の好きな理由と、おそらく観ない方がいい人というのを述べようと思う。

ネタバレなしです。

 

何が面白かったのか?

 

そもそもあらすじをかいつまんで説明すると、

2022年3月11日(金)にNetflixで配信された映画『アダム&アダム』。ショーン・レヴィが製作・監督を務めた、アメリカのSFタイムトラベル・アドベンチャー作品です。

舞台は科学技術が発展した2050年。タイムトラベル技術の発明を阻止するべく、全ての鍵を握る2018年の世界に向かう戦闘機パイロットのアダム・リード。

その中で彼は偶然にも、少年時代の過去の自分と出会うことになります。

大人になったアダムと生意気盛りの12歳のアダムが、時空を超えた冒険を繰り広げていく、ライアン・レイノルズ主演の映画『アダム&アダム』……

https://cinemarche.net/sf/the-adam-project-akikuni/

面倒だから引用しちゃった。

 

このあらすじを読むと、結構なワクワクタイムトラベル系SF作品だと思ってしまうのだけれど、シュタインズゲートとか、そういう緻密なSF作品を思い浮かべてしまうのだけれど、このアダムとアダムは、そうではない。

いや、スターウォーズのオマージュのような武器や、かっこいいタイムマシン戦闘機とかも出てくるから、楽しめないことはないのだろうけれど、それでも、設定があまりにも語られなさすぎる。

タイムパラドックスとかなんとか、それらの設定が重厚に語られることはなく、ぼくらはまるで、子どものアダムと同じような気持ちで、最後までその詳しい意味や作用を知ることなく、物語は終わってしまうのだ。

だから、緻密な設定の練られたタイムトラベルものだと期待して観てしまうと、肩透かしを食らうだろう。

 

二人のアイロニカルな掛け合い

じゃあ何が面白いのかといえば、まず最初に挙げられるのは大人アダムと子どもアダムとのアイロニカルな掛け合いだ。

まるでドラマSUITSのハーヴィーとマイクの理知的で皮肉たっぷりの掛け合いのように、子生意気な子どもアダムは大人アダムに食ってかかって、大人アダムも応酬をする。

この会話のテンポが非常に好きだ。

皮肉たっぷりによく喋る子どもアダムに辟易としながら、昔の自分を見て自己嫌悪に陥りながら、その性質は変わっていない大人アダムの発言もまた、なんとも言えない小気味よさがあるのである。

 

母と子の複雑で悲しくてどうにかできそうな関係

父を亡くしたことにより、悲しみに暮れる子どもアダムは、学校のクラスメイトだけではなく、母にも冷たく、皮肉たっぷりに接してしまう。

大人アダムはそんな子どもアダムをみて、思うところがめちゃめちゃあった。

自分自身だからこそ、子どもアダムの気持ちはよくわかったし、それでも、母を蔑ろにしてしまっている自分への後悔や、自分自身への嫌悪が表れてしまう。

父が亡くなってしまったばかりに、ねじれてしまった母と子の関係。

大人アダム、子どもアダムの両方が、母とどう向き合うことを選んだのかは、最後まで目の離せないものであった。

 

死んでしまった父とタイムトラベルの可能性

あまり書くとネタバレになってしまうので言えないけれど、ここにもまた、悲しさと前向きさがある。

死んでしまった父は生き返らない。

だからこそできることもあるし、かける言葉や、向き合い方もあるのだと、映画を観て思った。

 

正直、このアダム&アダムという映画は、SF大作などではなく、母と子、父と子、自己、これらを丁寧に取り扱った、とても温かく、素敵な家族の物語だと思う。

設定があまり重くないため、家族や子どもと観ることもできるし、アクションもなかなかに楽しい、結構気楽に、何度でも観たいと思えるような作品ではないだろうか。

SFガッツリ、インターステラーが観たいです、って言う人には向かないけれど、それ以外の人は、ぜひ楽しい気持ちで、楽に観てほしい。

そんな作品である。

 

今自分のレビューを読み返したら、結構浅いこと言ってるなぁと思いました。

今度はネタバレありで、ガッツリ感想を書きたいな。

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