私と愛とスカート
私は笑いながら、つまんね、と思った。手首の内側に巻かれた小さな腕時計へと目をやる。のろのろと動き続ける秒針が一周するのを、私は悟られないように、前髪で顔を隠しながら見ていた。 早く帰りたかった。居酒屋特有の喧噪も、黄色...
私は笑いながら、つまんね、と思った。手首の内側に巻かれた小さな腕時計へと目をやる。のろのろと動き続ける秒針が一周するのを、私は悟られないように、前髪で顔を隠しながら見ていた。 早く帰りたかった。居酒屋特有の喧噪も、黄色...
表参道のカフェ。 意外と若い子が多いなぁとか思いながら、ダージリンのホットティーをいただく。 白いポットは、まるで美女と野獣に出てくるあれみたいで、可愛い。 「わたしは可愛い女の子と一緒にいられればそれで満足だなー」 お...
「好きになった」 薫子の目はとても真剣で、冗談を口にしているようではなかった。すごい、と素直に思う。彼女はいつだって、こうなることができるのだから。「何を?」 この一言を言うためだけに、私はここに来たのだと、深く実感した...
「愛ってなんだろう」 学校からの帰り道。僕とみー君は家が近いだけあっていつも一緒に帰り、そしてよく遊ぶ仲だ。小さい頃からそれぞれの家を行ったりきたりしていて、今ではおかえりと言われるまでになった。しゃがみ込んでタンポポ...
僕と愛とスカート アパートの階段の一番下、制服姿のまま僕は腰をおろす。夕焼けの空は夜色と混じり合い、不思議な感じがした。 ローファーが地面を蹴る、硬い音。同じ中学の制服をきた泉ちゃんは僕を一瞥して、階段をあがり...