人生をペアでもっと面白く! pairstylesのようすけです。
公園って、お昼にいくと平日でも休みの日でも子どもたちがたくさんいて、びっくりしませんか?
いや、公園に子どもがいるのは当たり前だし、むしろ大人は行かないでしょ笑
って思われる人もいるかもですが、ぼくにとっては公園っていつまで経っても特別なところで、特に夜の公園が大好きなんです。
二人で半月を見上げながら、白い息を吐く。そんな夜のエモさが、すごく好きでした。
とある夜のお話。
爆弾魔と夜の公園
彼と錦糸町で飲んでいて、時刻は0時を回ろうとしていた。
「田中みな実って、なんであんな女性人気が高いんだろう?」
「努力しているところが、じぶんでも出来るかもって思わせてくれるからじゃない?」
店員さんが早く帰りたそうな顔をしている。「お先にお会計お願いしまーす」
余った揚げパスタと、エビとあさりの唐揚げをこっそりと天紙に包んで、立ち飲み居酒屋を出る。
「セントラルパークで浴衣着ておにぎり売れば、いけると思うんだ」
「それ、イギリスでやろーよ」
コンビニ店員は、何人かわからない。「2点で、320円でゴザイマス」
「あ、IDで」
ぼくらは公園へと向かった。
公園は凍えてしまいそうなほど寒くて、暗かった。
広い園内を、ぼくらはゆっくりと歩きながら、お酒を飲んでいる。
「この公園で、この一年で3回も暴行事件が起きてるらしいんだよね」
「え、チンピラ的な?」
「うん、そう」
「錦糸町こわい」
公園には4人が余裕を持って座ることのできる椅子と机が、等間隔に四つ並んでいる。
一番手前は高校生(とみられる)3人組が使っていて、ぼくらは奥の方に座った。
居酒屋から持ってきたつまみを広げて、食べながら、今日は満月かなあとか言って、空を見上げる。
「おじさんがこっち見てる」
「ね、やばい」
五メートルほど離れたところに、街灯みたいなのがあって、50代くらいのスーツを着たおじさんが、立ち尽くしたまま、こちらを見ていた。
ぼくの向きからはおじさんがよく見えて、こちらの方をじっと見つめているのがわかる。
「もしあのおじさんが一歩でもこっちに近づいてきたら、おれは全力で走って逃げる」
「うん。うわああ、って叫びながら逃げよう」
「え、どうしよう。なんか箱を開けたよ」
おじさんがA4サイズくらいの白と黒の箱をあけるのが見えた。
「しかも光ってる、箱の中、光ってる、白と赤だ」
「光ってるたま?」
「いや、粒。こーんな小さいやつ」
「なんで見えるんだよ」
「光ってるから」
「爆弾だ」
「え、爆弾?」
「やばいな、絶対爆弾だよそれ」
「また箱あけた!」
「え」
「今度は緑色と赤色だ」
「終わった……」
おじさんが箱をとじると、何を思ったのか、ぼくらとは反対方向に歩き出した。
「どうしよう、箱置いてったよ……」
「警察に通報しよう」
「その前に確認したい」
遠ざかっていくおじさん。
ぼくは街灯の下にある箱へと、慎重に近づく。
「おじさん、こっち見てる」
「え」
ぼくの動きが止まる。
「遠隔操作で爆発するのかも」
「おじさんいなくなった?」
「……よし、だいじょうぶ」
「おけ」
おそるおそる、箱をみる。
箱の真ん中は透明で、中に絡まり合ってる黒いコードが、よく見えた。
後ろを振り返る。おじさんはもういない。あおたが少し離れてこちらを見ている。
箱を、ゆっくりとあけた。
再生可能エネルギーを身近に感じてもらい、その普及につなげるため、携帯電話・スマートフォンの充電機能を備えたLED照明付きソーラースタンドを……
中には充電器が入っていて、iPhoneにさすと、緑色のランプが、赤に変わった。
なんとも言えない気持ちになる。
「どうだったー?」
「これはやばい」
「やっぱ爆弾?」
「うん」
この公園は暴行事件が多い。
おじさんはきっと震えていたのだろうなあと思うと、申し訳なさでいっぱいになった。