色色ありまして

一人で歩く時の外の世界は、色をなくす。

 

そもそも、ぼくは一人で外にいることを好まない。

食材調達のスーパーや時間を潰すためのカフェなどは行くけれど、それ以外の買い物や個人の用事などは、すべてネットで完結する。

AmazonとZOZOとUNIQLOオンラインがあれば生活用品のすべては賄えるし、ネットフリックスとYouTubeがあれば娯楽にも困らない。

良さそうなカフェやレストランなどは無目的な街歩きじゃないと見つからないと言う人もいるけれど、GoogleMapを1,2時間も見てれば、その街の予習はだいぶ成功するし、何よりレビューも見られるので失敗がない。

 

ぼくは何かを買うときや選ぶとき、必ず情報を集め、仮説を立てて、その上で今自分が思う最良を選択したいと思ってしまうのだけれど、外ではその情報にアクセスする時間や機会が少なくなってしまうというのも、家にいたいと思ってしまう理由の一つだ。

何かを買うとなったら、そのメーカーのHPの情報を見て、口コミを見て、ブログ記事を見て、情報を多面的に集めた上で、自分なりの立体像を作り、最終的に買うかを判断する。

お店選びについても同じことが言える。

 

だから一人の際に外へ出る願望が一切ないのだけれど、これが複数人になると話がまったく変わってくるのが、奇妙なところだ。

パスポートを取りに行くだとか、市役所に行くだとか、そんな事務的なものや、ゴルフ場に車で送るとか、会社へ見送りに行くとか、そんなことまで。

行くのが楽しくて、一緒にいられるのがワクワクして、外の世界が一気に色づいて見える。

 

一人の際に外の世界が灰色に見えるのには、家が居心地の良いのとは別に、一つ大きな理由があった。

それは大事にしなければいけない人の軸がないこと。

一人で外にいると、周りにはたくさんの人たちがいる。

電車の中にも、街中にも、お店の中にも。

色んな人のことが気にかかってしまうのだ。

 

あのおばあちゃん信号渡り切れるかな、とか、

あの子ども道路に飛び出ちゃって怪我しないかな、とか、

あのお兄さん怖い顔してるけどこれから強盗でもするのかな、とか。

 

とにかく余計なたくさんのことが心配になってしまう。

でも、自分の身近な人といれば、その隣にいる人のことを最優先にして、気にかけて、考えてあげればいい。

まるで人生のライバルを見つけたジャンプの主人公たちみたいに、一本の軸ができて、ブレずにいられる。

だからぼくは、好きな人たちと出かけるのが大好きだ。

その人ごとに色はたくさんありまして、誰と出かけるのもきっと、とても楽しいのだと思う。

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