体温の乗った言葉を

あいも変わらず、悩んでいる。

何を書くべきか。何を書かざるべきか。

 

ずっと作家になるのが夢だった。

小学生のころから。

その夢から覚めたことはなく、願いつづけ、焦がれつづけている。

ただ、自分の中にある”面白さ”というものを信じられなくなってしまって、足踏みを続けてしまうことがよくあった。

何のために、何を求めているのか。

ついつい、考え過ぎてしまう。

 

人に馬鹿にされることは慣れていた。

人が、体温の乗った言葉をそれほど持っているわけでもないことも知っている。

きっと僕にだって、まだない。

 

生きづらさを抱えて生きている。

自分だけ世界から弾かれて、ひとりぼっちみたいな。

まるで主人公になって、不幸を全部背負っているみたいな、どうしようもない感覚。

 

自分が。

自分だけが。

そう不幸ぶる自分に嫌気がさして、物語に沈み込んでみる。

そうすると幾分心は楽になって、どこか前向きな主人公に救われる。

心が震える。

かっこいい。

後ろ向きでも下向きでも、前に進み続けるキャラクターたちに憧れて、そんな物語のクリエイターたちに尊敬の念を抱いた。

 

全力で、物語を書いてみる。

自分の熱さやエゴを描き出すための物語ではなくて、僕にしか書けない体温の乗った言葉を尽くした、僕だけの物語を。

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