吉田くんとゆきこさんはゆっくり歩く
「ゆきこさん、理由をつけてよ、僕が歩くの遅い理由」 「え、何それ。お腹が痛いから?」 「お、いいねそれ」 「いいの、それ」 「たしかにお腹が痛い気がしてきた」 「だめじゃんそれ! うーん、そしたら、地面の感触を確かめて歩...
「ゆきこさん、理由をつけてよ、僕が歩くの遅い理由」 「え、何それ。お腹が痛いから?」 「お、いいねそれ」 「いいの、それ」 「たしかにお腹が痛い気がしてきた」 「だめじゃんそれ! うーん、そしたら、地面の感触を確かめて歩...
君の顔が好き 強がりなその見た目と正反対 優しい目で笑う君の顔 校則ギリギリなリップとネイル 優しさでくるまれた乱暴な言葉 都会(まち)の窓ガラスの光 反射して君の髪染める 君の顔が好き 強がりなその見た目と正反...
「プレゼント、見つかった?」 「わぁっ、ゆきこ先輩近いっす!」 のけぞるぼくを見て、彼女はケラケラと笑う。 細い手首にはシュシュ、ネイルは水色とピンク。 ゆきこ先輩は今日もギャルい。 そしてめっちゃいい匂いがする。 シャ...
友だちと錦糸町で飲んでいて、時刻は0時を回ろうとしていた。 「田中みな実って、なんであんな女性人気が高いんだろう?」「努力しているところが、じぶんでも出来るかもって思わせてくれるからじゃない?」店員さんが早く帰りたそうな...
表参道のカフェ。 意外と若い子が多いなぁとか思いながら、ダージリンのホットティーをいただく。 白いポットは、まるで美女と野獣に出てくるあれみたいで、可愛い。 「わたしは可愛い女の子と一緒にいられればそれで満足だなー」 お...
夏。 立夏。 暑い夏。 雨の多い夏。 休みの長い夏。 懐かしい気分になる夏。 ポケモン映画の再放送の夏。 サマーウォーズと時かけの夏。 夏祭りと花火大会に行けなかった夏。 アイス食べて自転車乗ってゲラゲラ笑ってた夏。 風...
はー、今日のゆんさんとの飲み、楽しかったなぁと僕はひとりごちる。 いっぱいワインを飲んで、いっぱい笑って、名残惜しさに後ろ髪引かれる思いでの解散。 心地いい。 もう30歳になったのだと、にわかには信じられなかったけれど、...
男子高校生のたろうがスマホの画面を見ると、6時55分。 いつもの目覚ましの時間の5分前、うんいい感じ。 でもYOASOBIは聴きたいから、みゅーじっくアプリを開く。 頭はすっきりしていた、カーテンの隙間から天井にこぼれ落...
「愛ってなんだろう」 学校からの帰り道。僕とみー君は家が近いだけあっていつも一緒に帰り、そしてよく遊ぶ仲だ。小さい頃からそれぞれの家を行ったりきたりしていて、今ではおかえりと言われるまでになった。しゃがみ込んでタンポポ...
「りんごって、めっちゃエッチじゃない?」 あきちゃんの長い髪の毛からは、とれたてのりんごの香りがする。 「え、それめちゃめちゃキモいから私以外に言わない方がいいよ? てか私にも言わない方がいいよ?」 こちらを絶対零度の眼...