ぼくと同い年の友人に、最近5000万円の家を買ったやつがいる。 結婚して、夫婦二人で、仲睦まじく暮らしている。 彼は堅く、足の踏み出し方も、踏みしめ方も、地面の蹴り方も、よく知っている人間だ。 彼はきっと、彼の道を曲げな...

染まった気でいた。 色はもう確定していて、動かすことはできない。 東京のビル群を眺めながら、あたしはペットボトルの水のラベルを剥がす。 　 なんて透明なのだろう。 　 16歳、あたしは何も知らなかった。 26歳、きっと変...

森の中にも日の光が届くことに、驚く 少しだけ、少しだけ。 木漏れ日は、届きそうで、ふと伸ばしたくなる手を静かに引っ込めた。 　 わたし、馬鹿みたい。 　 在りたい姿がある。 曲げられない気持ちを、曲げないための理由づくり...

1 え、ここどこ ってまなかが思ってポストの陰に隠れたのは、隣の家から出てきた幼馴染の顔が、どう見ても昨日とまるきり変わって、老けていたから。 いや、あいつだよね？　だってあの家から出てきたし と心の中で呟きつつ、彼に兄...