こんにちは、大豆大好きようすけです。
子どもって不思議な存在ですよね。
見ていると懐かしい気持ちになって、思わず昔のことを思い出したり、よーわからない言動や行動になんだか癒されたりします。
でもきっと一週間も同じ家で暮らしていたら発狂するのだろうなぁと思ったら、世の親の偉大さに頭が上がりません。
特に小学生を見ていると、懐かしさとなんか変なものがこみ上げてきて、思わず武者振るいみたいにぶるっと肩が震えます。
それは小学生というのが、初恋の時だったからかもしれません。
これはぼくの、あったかもしれないし、なかったかもしれない。
そんな話。
結末は意外かもしれないし、そうじゃないかもしれません。

「お前、恋してるな」
学校をでて、すぐ坂をのぼったところには溜まり場にぴったりの公園があったけれど、放課後は寄り道をせず一度家に帰らなければいけないときつく先生に言われていた。
ぼくの家は歩いて15分も先にあって、行って帰ってくると30分もかかってしまう。
だからぼくとひーろーは、放課後も学校にいる。
学校にいれば、寄り道にならないからだいじょぶなのだと教えてくれたのはひーろーだった。
「ひーろー、どうしたの」
「いや、だから」
朝礼台にあおむけに寝そべって、男の子にしては少し長い髪の毛をだらんとさせているひーろーは、たぶん空に浮かんだ学校の旗を見ている。
「よんちゃぁん、好きな子できたでしょ」
「できてないけど」
「うそつけぇ。前まで瞬足興味ないって言ってたのに、最近買ったでしょ」
「え」
「ほら、今日も履いてる」
ひーろーは朝礼台のふちから頭をだして、びろぉんと頭を地面に近づけた。
たぶん、ぼくの足元を見ている。そしてニマニマ笑ってる。
「別に、親が買ってきただけだよ」
「ほんとか? クラスの女子一番人気が足の速いシュウだから、それ気にしてるんじゃないのかぁ?」
「シュウよりもぼくの方が頭いいけどね」
「そんな大して変わらないだろ」
「算数の点数はぼくの方が上だ」
「何点?」
「96」
「おれと一緒じゃん」
「シュウよりは上って話」
「足速いやつの方がモテるぞ」
「うるさいなぁ」
「で、誰が好きなイタっ!」
ごん、と鈍い音がして、気づいたときにはひーろーはよくわからない体勢で地面に転がっている。
「ばーか」
「いたい……」
「だいじょぶ?」
「だいじょばない……、で、誰が好きなん?」
こいつアホだな、とぼくは思った。
「言わないよ」
「誰にも言わないからさぁ、よんちゃぁんー」
「ていうかよんちゃんって呼ぶのやめてよ。女の子みたいじゃん」
「だってそっちがひーろーって呼ぶから」
「先生がようすけのようはひろって読むって教えてくれたじゃん。だからひーろー。かっこよくない?」
「ダサいわ……。炎の錬金術師って呼んでよ」
「長いし意味わかんないわ」
「で、誰が好きなの?」
「逆にそこまできくってことは、だいたい誰か考えてるんじゃないの?」
「いや、そうでもないけど……うーん」
「急に歯切れ悪いな、言ってよ」
「んーー、いや、わかんないけど……、むっちゃん? 最近よんちゃ……、よん仲いいみたいだし」
頭をさすりながらようやく立ち上がったひーろーは、全身砂まみれだった。
Tシャツから、一番下のクツまで。
てか待てよ、こいつがはいてるのも瞬足じゃん。
「もしかしてさ、ひーろ……、いや炎の錬金術師さん」
「ごめんやっぱないわそれなしで」
「……むっちゃんのこと好きなの?」
漫画みたいにわかりやすく、ギクっとした顔をする。
ぼくはきっと、ニマニマとしてしまっているだろう。
ひーろーは一度空を見あげると、腰に手をおいて、ぼくを見る。
もったいぶるように息をはいて、彼はこういった。
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

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