愛の正体を見つける物語
僕と愛とスカート アパートの階段の一番下、制服姿のまま僕は腰をおろす。夕焼けの空は夜色と混じり合い、不思議な感じがした。 ローファーが地面を蹴る、硬い音。同じ中学の制服をきた泉ちゃんは僕を一瞥して、階段をあがり...
僕と愛とスカート アパートの階段の一番下、制服姿のまま僕は腰をおろす。夕焼けの空は夜色と混じり合い、不思議な感じがした。 ローファーが地面を蹴る、硬い音。同じ中学の制服をきた泉ちゃんは僕を一瞥して、階段をあがり...
「いや、お前はすごいよ」 「え、そう?」 彼はいつだって真剣な眼差しだ。 いつもぼくを肯定してくれる。 ぼくは彼と過ごす時間を、褒め褒め会と呼んでいて、毎月楽しみにしていた。 負け犬の傷の舐め合いだって? うるせえ、...
秋色 好きだなんて、言わなければよかった 秋色のTシャツを着たあなた 好きを知らなければ、季節なんて感じなかった いつもつまらない冗談を言って 私の笑い声に重なるあなたの嬉しそう声 優しいところも 自信のないところも...
「おじい、連れてきたよ!! これでおじいはもう苦しまずに済むんだよね?!」 病室に駆け込む少年に腕を引かれて、私はうつむいたまま、部屋へと足を踏み入れた。 ほんとにほんと? 本当にこの世に、死ぬ間際におっぱいを揉みたいと...
ドライブしない? ってラインするのが、いつもの誘い文句だった。 彼女とは高校のころからの友だちで、大学生になってからはよく二人で夜の散歩をするような仲。 ぼくが運転免許をとって、カーシェアでよく車を借りるようになって...
「ぼくも夢を見つけられただろうか」 ぼくには強い夢がない。 ミュージシャンとか、サッカー選手とか、美容師とか、ケーキ屋とか。 小学校の卒業式で、一人一人が将来の夢、なりたい職業を語る横で、ぼくは何も思いつかなくて、た...
花火大会のその夜に めいじはかれんが好きだった。 少し自信なさげにハニカむその笑顔も、周りが引くくらいの食べっぷりも。 一緒にいると、何だかどんな時よりもじぶんらしくいられる気がして、いつもは大して好きでも嫌いでもな...
これは私の物語じゃない。 能天気に柔らかく笑って、いっつもぼけぼけしてて、何も考えてないけど何もかもうまくいくあの子の物語。 可愛い子ってトクだよなぁ〜。 って、会社の自販機でいつも買うお気に入りの野菜ジュースをストロー...
男ってサイテーだ 「おれ、あなたのこと好きだ。だから、付き合ってほしい」 またか、と思った。 少し恥ずかしそうに、少し自信のある目で、少しの雰囲気に酔いしれた彼を見て、私は下唇をぎゅっと噛んだ。 嫌な予感はしてい...
コウは大学のゼミが一緒だった友人と四人、居酒屋からの2軒目、カラオケにきていたのだが、ノリノリの音楽とは正反対に、気持ちが乗らない理由があった。 そもそも、久しぶりに会おうと言い出したのは誰だったか、コウは覚えてはな...