みんなくたばれって物語

あーあ。

この世にいるすべての人くたばんないかなぁ。

なんでぼくだけがこんなにしんどくて苦しい思いをしなければいけないんだろう。

 

20歳にもなって、ぼくはいまだに死ねずにいた。

死にたいわけではなかった。

だって痛いし、辛そう。

でも生きるのはとても嫌だった。

死ぬほど生きたくない。

どこにも行きたくないし、生きたくもないし、逝きたくもないくせに、イキることもなくはない。

死ぬまでに女の子のおっぱいが揉みたいわけでもないけれど、童貞のまま死ぬことには気を揉んでなくもない。

今さらというかサラサラというか脱サラというか、最近のもっぱらの楽しみはクリープパイプのMVを聴くこと。

ラップ嫌いだったのになぁ、いつのまにか好きになってた。

洋楽のラップは下品なものが多い気がしてて、だから苦手なのに変わりはないんだけれど、邦楽では比較的きれいな曲(言っておくがこれはもちろんぼくの主観でしかない)を見つけられてノットアンハッピーって感じ。

 

誰とも会いたくないのに、寂しい。

生きたくないのに死にたくもない。

ご飯なんて嫌いだけど、食べなければ死んでしまう。

この矛盾を抱えて、ぼくは頭を抱えている。

地獄とは、他人のことである。

ってサルトルって人が言ってたらしい。

その文脈はわからないけれど、たしかにな、って思った。

ぼくは人にとって、地獄だ。

誰も彼もがぼくを見て、地獄だと思っているだろう。

怠惰で、何の生産性もなくて、酸素を吸い込む代わりに二酸化炭素を吐き出すゴミ。

はぁあ。

もう死のう。

 

ごめんなさい。

人が死ぬのを許せない、ぼくのたった一人の友だち。

理由なんてない。

でももういいや、って思ってしまった。

__本当にもう無理だなって思ったら、この手紙に書いてある死に方で死んで。きっとあなたにぴったりだから。

ぼわぁん、と友だちのセリフが蘇る。

財布を取り出して、手紙を探す。

あったあった。

えーっと、なになに。

 

大バカやろうへ。

これを読んでいるということは、大バカやろうですね。

あなたは私に借りがありますよね?

この世からいなくなる前に、何でもいいので善行を積んで、借りを返してください。

そうですね、ごみ拾いなんかがいいんじゃないですか?

 

P.S

P.Sって書いてみたかっただけなので、お気になさらず。

 

 

ゴミ拾い……?

まあ、どうせ死ぬんだ。

最後に善いことをしてもバチは当たらないのかもしれない。

つーか借りって、バンドのライブに付き合ってもらったやつのこと言ってるのかな。

あれ、君が誰よりも感動して泣いてたじゃん……。

 

 

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