太陽はまだ、沈みそうにない。
炎の真ん中の、一番眩しいところ、みたいな黄色が砂浜を照らしている。
海の音がぽわぁんと頭の中で響いては、暗闇に飲み込まれたみたいにすんって消える。
まるで私みたい。
そう、ひとりごちてみる。
16歳だった頃の私も、きっといつかなるであろう26歳の私も、そのどちらでもない、今の私も。
どれが本当なのだろうか、と考えてしまう。
ブレてしまう自分がいた。
やるせない自分がいた。
誰よりも誰かのことを考えたかったのに、誰も彼も許せない。
波の音に、心が飲み込まれそうになる。
強く光る太陽が作った、大きな私の影。
波に飲まれる影。
目をつむる。
いつも歩く、コンビニから家までの帰り道。
夜の道。
走り去る車の音と、まばゆいヘッドライト。
それとは正反対に感じられる、波と太陽。
ありきたりな不幸せは、レモンの皮みたいな味がした。
遥か先を歩いていて、きっと私のことを気にも留めていない黄色い光は、徐々に赤くなっていって、そして夜色になる。
夜は影を作らない。
等しく周りを塗りつぶして、境界をなくしてしまってくれる。
あぁ。
夜色に会いたい。
夜が待ち遠いのではなく。
きっと、夜色になってしまいたいのだと。
この光の下で歩きながら。
想い、続けていた。
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