お前のそれはオナニーなんよって言われた

誰かや何かを馬鹿にしてしまうことがある。

正直、馬鹿だなぁって思ってしまうことがある。

めちゃめちゃいいじゃん、って思うこともあって、その気持ちをありのまま伝えると、

「いや、馬鹿にしてんじゃん!」

って言われてしまうこともある。

 

なんでもかんでも褒める人とか、

いいじゃんってすぐ言う人とか、

好きと気安く言ってしまう人とか。

 

たしかに軽々しい。

重みがなくて、嘘っぽくて、本当は何考えてるんだろう、って勘繰ってしまう。

どうせ心の中では馬鹿にしてるんじゃないかって思って、素直に言葉を受け取れないという気持ちはよくわかる。

 

私デブだし、

って言うのと、

お前デブだもんな、

って言われるのが大きく違うように。

 

僕らはいつだって、他人からの言葉に容易く傷ついて、嫌な気持ちになって、悲しくなる。

だから言葉には細心の注意を払って、気をつけて、大事に使っているつもりだけれど、おそらくぼくは人を傷つけてしまっていた。

不用意に。

不用心に。

 

あんなこと言わなければよかった、

とか

もっと別の言い方があったかもしれない、

とか考えながら、帰りの電車に揺られている。

きっと自分が考えているその10倍、誰かの心をチクッとさせているのかもしれない、という前提を持ちながら、毎日生きていて、でもそれも十分ではないなと日々感じている。

 

何を言われても平気そうだと思われている僕が、相手が傷つけるつもりがないってわかっていても、めちゃめちゃ気になってしまうから。

 

お前のそれはオナニーなんよ、って言われた。

 

こうして文章を書いていることが、オナニーなのだとそう言った。

特に何かを考えることなく、彼女は言ったのだと思う。

本当だったら、

「いや、そんなこと言われたら悲しいわ・・・」

って冗談めかして言うのがいいのだと思う。

だって、じゃないと相手はわからない。

でも僕は逃げて、

「たしかになぁ」

って言ってしまう。

 

自分なら絶対にそんなこと言わないなぁって思いながら、でも自分もそうやって他人に思われている言動をしているのかもしれないなぁって省(かえり)みて。

今まで住んでいた家にさよならを告げた。

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