「Fish or Beef?」
いんちょーは初めてのフライトで緊張していた。
席がガタガタ揺れているのは飛行機の振動のせいか、それとも彼女が震えているだけなのか。
金髪のCAさんが、ニコニコしながらこっちを見ている。
「ぱーでぅん?」
高校の英語は一番下のクラス。
英語さえなければ、ゆきこちゃんにだって期末で勝てるかもしれないのに、とか思いながら、いんちょーは自身の顔がどんどん青くなっていっているように感じていた。
「Do you want to have fish, or beef?」
めちゃめちゃ笑顔。
美しい。
いんちょーは綺麗な顔の人がもちろん好きだったので、CAさんにも見惚れていた。
でもそれどころじゃない。
あたふたしながら、隣に座るお母さんを見ると、ウィンクされる。
「お母さん、英語の成績は1だったの」
となぜだか自信満々に言い切られた。
1ってなんだ、それテスト白紙で出したでしょ。
あー、私もゆきこちゃんみたいに帰国子女だったらよかったのにな〜とか思いながら、一瞬頭が真っ白になりながら、いんちょーは満面の笑みを浮かべて、CAさんを見た、うん可愛い。
「YES!!」
金髪美女CAはゆきこちゃんの顔をしながら、ニヤリと笑って、流暢な英語で多分、オーケーと言った。
発音良すぎてオーケーすらうまく聞き取れたかわからないことに、いんちょーは我ながら情けなくなりながら、え、なんでCAがゆきこちゃんなの? と思う。
「Here you are. This is fish and beef, Tsumari, …… Gyoniku!!」
CAゆきこちゃんがニコニコ笑顔でサーブしてきたのは紙皿にのった魚肉ソーセージ。
…………。
いやどーゆーことおーーーーー!!
って思ったところで、目が覚めた。
英語があまりにも苦手すぎて、こんな夢を見るだなんて……。
いんちょーは頭を抱えながら、もっとちゃんと勉強しようと心に誓ったのだった。
夢オチです。
はい、夢オチです。
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