愛を知る小学生の物語
「愛ってなんだろう」 学校からの帰り道。僕とみー君は家が近いだけあっていつも一緒に帰り、そしてよく遊ぶ仲だ。小さい頃からそれぞれの家を行ったりきたりしていて、今ではおかえりと言われるまでになった。しゃがみ込んでタンポポ...
「愛ってなんだろう」 学校からの帰り道。僕とみー君は家が近いだけあっていつも一緒に帰り、そしてよく遊ぶ仲だ。小さい頃からそれぞれの家を行ったりきたりしていて、今ではおかえりと言われるまでになった。しゃがみ込んでタンポポ...
あの日から、3年。 過去をきちんと清算するために、まなかはあの日のことを思い出すことを決意した。 忌まわしきあの事件の日を。 「でもまなかは胸あるからいいもんね」 親友だと思っていた京子から言われた言葉に、まな...
「りんごって、めっちゃエッチじゃない?」 あきちゃんの長い髪の毛からは、とれたてのりんごの香りがする。 「え、それめちゃめちゃキモいから私以外に言わない方がいいよ? てか私にも言わない方がいいよ?」 こちらを絶対零度の眼...
満月の夜が嫌いだった。 白い街灯も、明るすぎるコンビニの光も。 すべて。 すべて。 夜に輝くすべてのものを呪った。 ぜんぶ消えてしまえばいいと思う。 消えろ。 消えろ。 消えろ。消えろ。消えろ! いくら願っても、消えては...
「え、中町さんほんと? 明日??」 「はい! 今までクソお世話になりました!! あ、すみません、口が滑りました……。大変お世話になりました」 「いやいや、君もう32歳だよね? ていうかここで働いてもう7年目? どうしたの...
「わたしさ、早く大人になりたい」 「わかる、まじお母さんだるいわ」 「ゆきこちゃん、たぶんカナカナが言いたかったのは、もう少し深い意味なのでは?」 注意する私を無視して、ゆきこちゃんはニヤリと笑う。 はー、カナカナの話っ...
姫はひどく無様だった。 身に纏う衣装はどの国々の王子や王女よりもみすぼらしい。 住まう宮殿は犬小屋と見まがうほど小さく、国民の方がよっぽど立派な家に住んでいた。 水油を塗らせてもらえない髪は艶やかとは言い難く、匂い立つお...
僕と愛とスカート終わりと 僕は冒険にあこがれていた。ここではないどこか、いまだ誰も見たことのない世界を、僕が一番前に立ってきりひらいていく。動物園の臭いをぎゅっと濃くしたような獣臭に、きいたことのないほどおぞまし...
「私はさ,”私たちの秘密“を守りたかったんだぁ」 「私たちの、秘密、ですか」 「そう、秘密秘密、私と鈴だけの、ちっぽけな秘密」 「嬉しそうで、悲しそうな表情。……笑ってるのですか?」 「わかんない。自虐の笑いかなー。鈴に...
くきききき、と笑い声のような木の軋む音がする。 アルコールとポップコーンが焦げたのが合わさった、複雑な臭い。 ピアノのメロディがぽろん、と聴こえたかと思ったら、泡のように消えた。 “それ”は人の形をしていたが、顔の表情は...