未来のわたしは綺麗な色?
森の中にも日の光が届くことに、驚く 少しだけ、少しだけ。 木漏れ日は、届きそうで、ふと伸ばしたくなる手を静かに引っ込めた。 わたし、馬鹿みたい。 在りたい姿がある。 曲げられない気持ちを、曲げないための理由づくり...
森の中にも日の光が届くことに、驚く 少しだけ、少しだけ。 木漏れ日は、届きそうで、ふと伸ばしたくなる手を静かに引っ込めた。 わたし、馬鹿みたい。 在りたい姿がある。 曲げられない気持ちを、曲げないための理由づくり...
太陽はまだ、沈みそうにない。 炎の真ん中の、一番眩しいところ、みたいな黄色が砂浜を照らしている。 海の音がぽわぁんと頭の中で響いては、暗闇に飲み込まれたみたいにすんって消える。 まるで私みたい。 そう、ひとりごち...
吉田くんは、今日も勇気が出せない。 吉田くんは好きなものがたくさんあった。 商店街にある、小さな小さな本屋の、怖い顔したおっちゃん店長が作っている、可愛らしい丸文字のポップも。 同じマンションの、平日7時45分に家を...
ここでテーマとか、主義主張とかはあえて述べず。 ただ、書き続けたのだということを、書き記す。 誰に見てもらえているのかもわからず、誰かひとりでも面白いと思ってくれているのかもわからず。 100まで、折り返し地点なので...
「なんで追いかけてくんのよぇ」 舌がもつれた。息が苦しくなって、小刻みに酸素を求める。走ってる最中に叫ぶべきではなかった。そんな後悔をする。 「僕が何をしたっていうんだぁはっ」 だというのにまた叫んでいた。抗議をしな...
「うまいこと言おうとすんなって」 きっと涙目。 ぼくってダサいなぁって思いながら、ゆきこ先輩を睨みつけている。 敬語じゃないし。 ゆきこ先輩怖いから、後でぶっとばされるかもしれないなぁって思いながら。 でも許せなくて、ぼ...
「Fish or Beef?」 いんちょーは初めてのフライトで緊張していた。 席がガタガタ揺れているのは飛行機の振動のせいか、それとも彼女が震えているだけなのか。 金髪のCAさんが、ニコニコしながらこっちを見ている。 「...
「有頂天家族読むとさ、京都行きたくなる」 「わかる。ていうか、森見登美彦作品すべてに言えるよね」 土井(どい)くんは今日もセクシー。 今日は華の金曜日。 仕事がなかなか片付かない私を見かねて、彼からご飯に誘ってくれた。 ...
「姉ちゃんって、小学生とか中学生の頃ってどんな感じだったんですか?」 とか、他愛もない話をしていた。 朝6時の公園で、気怠げに葉巻を吸う二人の先輩は、葉巻よりも小さい子供とか、読書とかが似合いそうな朴訥(ぼくとつ)な感じ...
「わたしさ、早く大人になりたい」 「わかる、まじお母さんだるいわ」 「ゆきこちゃん、たぶんカナカナが言いたかったのは、もう少し深い意味なのでは?」 注意する私を無視して、ゆきこちゃんはニヤリと笑う。 はー、カナカナの話っ...