自己肯定感が下がってるときのための物語
「いや、お前はすごいよ」 「え、そう?」 彼はいつだって真剣な眼差しだ。 いつもぼくを肯定してくれる。 ぼくは彼と過ごす時間を、褒め褒め会と呼んでいて、毎月楽しみにしていた。 負け犬の傷の舐め合いだって? うるせえ、...
「いや、お前はすごいよ」 「え、そう?」 彼はいつだって真剣な眼差しだ。 いつもぼくを肯定してくれる。 ぼくは彼と過ごす時間を、褒め褒め会と呼んでいて、毎月楽しみにしていた。 負け犬の傷の舐め合いだって? うるせえ、...
秋色 好きだなんて、言わなければよかった 秋色のTシャツを着たあなた 好きを知らなければ、季節なんて感じなかった いつもつまらない冗談を言って 私の笑い声に重なるあなたの嬉しそう声 優しいところも 自信のないところも...
「おじい、連れてきたよ!! これでおじいはもう苦しまずに済むんだよね?!」 病室に駆け込む少年に腕を引かれて、私はうつむいたまま、部屋へと足を踏み入れた。 ほんとにほんと? 本当にこの世に、死ぬ間際におっぱいを揉みたいと...
ドライブしない? ってラインするのが、いつもの誘い文句だった。 彼女とは高校のころからの友だちで、大学生になってからはよく二人で夜の散歩をするような仲。 ぼくが運転免許をとって、カーシェアでよく車を借りるようになって...
「ぼくも夢を見つけられただろうか」 ぼくには強い夢がない。 ミュージシャンとか、サッカー選手とか、美容師とか、ケーキ屋とか。 小学校の卒業式で、一人一人が将来の夢、なりたい職業を語る横で、ぼくは何も思いつかなくて、た...
花火大会のその夜に めいじはかれんが好きだった。 少し自信なさげにハニカむその笑顔も、周りが引くくらいの食べっぷりも。 一緒にいると、何だかどんな時よりもじぶんらしくいられる気がして、いつもは大して好きでも嫌いでもな...
これは私の物語じゃない。 能天気に柔らかく笑って、いっつもぼけぼけしてて、何も考えてないけど何もかもうまくいくあの子の物語。 可愛い子ってトクだよなぁ〜。 って、会社の自販機でいつも買うお気に入りの野菜ジュースをストロー...
男ってサイテーだ 「おれ、あなたのこと好きだ。だから、付き合ってほしい」 またか、と思った。 少し恥ずかしそうに、少し自信のある目で、少しの雰囲気に酔いしれた彼を見て、私は下唇をぎゅっと噛んだ。 嫌な予感はしてい...
コウは大学のゼミが一緒だった友人と四人、居酒屋からの2軒目、カラオケにきていたのだが、ノリノリの音楽とは正反対に、気持ちが乗らない理由があった。 そもそも、久しぶりに会おうと言い出したのは誰だったか、コウは覚えてはな...
暗い話にはならないと、前もって言っておきます。 最近、違国日記という漫画をだいじな人にすすめられて、すごくすごくだいじに読んでいる。 こんなにくるしくならない、”苦しい“を描いている作品に今まで出会ったことがなくて、...