また、朝起きたら泣いてました

こんばんは、家系ラーメン大好きようすけです。

 

今朝起きたら、涙が流れていました。

映画を観終わったときのような清々しい涙で、そこに悲しみはありませんでした。

 

今回は割と理由もあって、面白いと個人的に思ったので、ゆっくりとお話をしていきたいと思います。

夢をみていた

ぼくは夢をみていました。

 

それが夢だとわかるようなものではなく、たしかにぼくはその世界で生きていました。

何かを追っていたような気もするし、何かに追われているような気もする。

とにかく焦燥感を抱えて、ホテルのような空間で何度も扉を開けたのを覚えています。

 

そこからいくつか展開はあったと思うのですが、目覚めてから半日以上が経った今、もうすべてうろ覚えです。

レストランみたいな場所で、たくさんの人が食事をしていて、ぼくは焦りながら、きょろきょろと辺りを見渡しています。

 

ここの扉じゃない!

そう思って、大股で歩いて、高級感のある真鍮のドアノブに手をかける。

ぼくは普段被らない帽子を被っている。

ベレー帽のようです。

それが何かもわからず、つばを触って、整える。

 

よし、と意気込んで、えいやっと飛び込む。

でもその扉の先には、ぼくの期待しているものはない。

そっから天井がぐるっと回って、ぼくは暗闇に落とされる。

 

ここはどこだろうか。

わからない。

とにかくいかないと。

どこへ?

何をしたいのだろうか。

ぼくは何をするために生まれてきたのか。

 

こうして急ぐことも無意味に感じられました。

何も慌てる必要はない。

そんな気もしました。

 

そこから時間は流れ。

何かをしました。

何をしたのかは覚えていません。

けれど何かをしたことは覚えていて、退屈なくらい長くて、飽き飽きとして、焦がれたことだけは覚えている。

そうして気づくと、ぼくは電車に乗っていました。

 

どこかに行く電車。

きっとぼくの知らない場所へと向かう電車。

期待はしてない。

そもそもじぶんの意思で乗ってない。

知らない力に惹かれて、知らない場所に連れて行かれる。

ぼくはそれが何だかとても嫌で、電車を降りました。

 

いえ、本当は嫌だったのかもわかりません。

何の気もないのに、一緒に乗っている無気力な人たちの顔を見るのが嫌で、慌てて飛び降りたのかもしれません。

とにかくぼくはせき立てられるように電車を降りて、無人の駅で立ち尽くしました。

そこには少年がいました。

 

ベレー帽を被った少年。

かつてぼくが、いくつもの扉を開けながらもがいていた、その姿で。

ぼくは彼とじぶん自身の姿を重ね合わせながら、彼について行きます。

 

彼は何かを追いかけていました。

それが電車だったのか、はたまた違う何かだったのかはわかりません。

とにかく彼は、必死に追っていた。

ぼくにはまったく見えないその姿を。

走って、走って、諦めずに走って。

 

月並みかもしれないけれど、どんなメッセージがあったのかわからないけれど、ぼくはそれを見て、泣いていました。

走り続けて、追いついて、追い越した少年の姿をみて、ぼくは泣いたのです。

もっと理由があったと思います。

きっと他にも物語はあった。

 

けれど残念ながら、眠りから目覚めたぼくが覚えているのは、こんなことだけ。

彼が何を目指し、ぼくがなぜ泣いたのかすら、覚えていない。

 

”それ“を追い越した少年は立ち止まって、ぼくの方を見ました。

ぼくは何か、一言声をかけます。

少年は笑いました。

「じゃあぼくはこっちの駅だから」

その駅の名前をきいて、結構歩くなぁと思ったけれど、ぼくは付き合おうと思いました。

彼の最後を見届けたいと、そう思ったんです。

でも、ぱっと振り返った少年は、

「あれ、ここの駅だ! こんな近くにあったよ」

と言って、目の前の駅を指さしました。

 

その駅じゃなくない? と思いましたが、ぼくは何も言いませんでした。

おめでとう、と言いたくなるのをぐっとこらえて、ぼくは手を振ります。

「じゃあね」

少年は笑っていました。

またね、

そうぼくが言おうとしたところで、ぐぅんと視界は揺らいで……。

目が、覚めたのです。

 

その夢が何を示していたのかもわからず。

きっと大切な物語の鍵をなくしていると自覚しながらも。

ぼくは泣いていました。

意味がわからない。

ていうか泣きすぎ。

なんでやねん。

とか思いながら。

 

誰にも、何もうまく説明できないことに歯痒さを感じながら。

でも、一人勝手に充足感を覚えている。

満ち足りた気持ちで、映画を観終えたみたいな感情で、目を閉じています。

 

そんな不思議な、春の日。 

 

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