ご飯つぶとつぶやく特別なぼく

最後のひとつぶだけを残すみたいな、そんな中途半端な美しさに酔っていた。

 

人と違うことがかっこいいとか、

あえてという言葉をあえて使うとか、

何かを考えてそうで、実際は何も考えてないのを悟られたくなくて、一応意味ありげにつぶやいてみる。

 

詐欺師みたい、と言われた。

たしかに沈黙が怖くて、気持ちが適切に届かないのを恐れて、言葉を尽くして分かってもらおうと欲をかいてしまった。

大事なのは自分が言葉を尽くすことじゃなくて、相手の言葉に耳を傾けることなのに。

ぼくはいつだって喋りすぎてしまう。

特別な人間なのだと、自分自身に対して思いたくて、そしてそれと同じくらい、他人にもぼくが特別なのだと思ってほしい。

その人の特別になりたい。

 

継続は力なり。

日々その言葉を噛み締めて、何もしていないぼくだけれど、今一番継続したいのは人との関係だった。

友人や家族、パートナーとの関係。

行き当たりばったりなものではなく、一歩一歩、確かに不確かな、大切なものを積み重ねていくような、そんな関係。

お互いがお互いのことを、ほどよい距離感で大事にしたいと思えるような。

冬がきて、春がきて夏がきて、秋がきて。

そして再び、冬がくる。

季節の移り変わりの、その当たり前に風情を感じられるみたいに、心地よい距離感の中で、お互いの関係を当たり前にしたいのである。

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