いやぁ、暑すぎませんか。
こんなの溶けてしまいそうです。
どうしましょう。
身体が重たいです。
はー、面倒ですが、仕方ないですね。
ぬくぬくとエアコンの効いた部屋で6年間も過ごしてた、生粋のインドア派である僕ですが、やるときはやる男、いえ、ジェントルメェンであることをここに知らしめて差し上げるとしますか。
ふーむ。
あー、あー。
よし、喉は問題なさそうです。
そもそもなんでこんな暑いときに外に出てるんですかね、まあ街コンはこの時期しかやらないって決まってるので文句を言っても仕方ありませんが……。
この6日間、僕はひたすら”静”でいました。
たくさんの男性の方達が色んなアプローチやアピールをしていく中、女性の方々は待つばかり。
自分自身では声をかけることもしないだなんて、……、いえ、文句を言っても仕方がありませんね。
こういうところがモテないんだ、って初日にアブくんが教えてくれたじゃないですか。
ガンガン声かけていけ、やらない後悔よりもやった後悔だぜ、ってかっこよく言ってたアブくんは、街で目立ちすぎて全然関係ない小学生にどこかに連れてかれてしまいましたが……。
ご臨終です。チーン。
何はともあれ、僕もさすがに本気を出す時が来たようです。
ふぅ。
さすがに緊張しますね。
ここまで長かったです。みんなが声をかける中、ぼくは隅っこの壁で一人。
今日は僕にとっての最終日。
つまり、もう後には引けないのです。
このまま誰とも結ばれずに終わるのなんて嫌です!
ないちゃだめだって、思ってずっと耐えてましたが、いまこそ、自らを解放するときなのかもしれません。
すぅーー。
はぁーー。
すぅーー。
はぁーー。
「すーき、すきすきすきすきすき!!!」
続けて、もう一度。
声を振り絞って、ぼくはなきます。
「すーき、すきすきすきすきすきすきーーー!!」
お母さんと歩く小学生がこっちを見て、指をさしました。
「すーきすきすきす……。すぅーっ」
「あ、お母さん、セミさんだー」
「そうだね、ゆうたくん。夏だね〜」
「すきすきすきすきすきすきすきすき!!!!」
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