原田マハ著の「さいはての彼女」を読んだ。
美しい日本の景色と、ハーレーとツルと旅と人。
家でぬくぬくと本を読んでいただけのくせして、どこか遠くまで連れていってもらったような、そんな爽やかな気持ちよさがあった。
まるでサイダーみたいな。
ぼくは読書家と名乗るには、些か本から離れすぎてしまっていた。
無音の物語にどっぷりと浸かるその気持ちを、久しく忘れていて、朝シャワーの最中にふと思い出す形の不確かな夢みたいに、再び出会ったのであった。
心地よかった。
四つの短編からなる「さいはての彼女」は、たしかにぼくを、果てへと連れ出してくれる乗り物そのものみたいだった。
きっかけをくれた彼女に感謝をしなければ。
運命と呼ぶにはあまりにも小さくて、何でもないきっかけだったけれど、こうしてまた会えるのだから、楽しみばかり。
原田マハの物語には、希望がある。
日常から1cmだけ行きすぎた希望は、憧れを抱くと同時に、外の世界へと目を向けさせてくれる。
きっとその1cmは、大げさではないから。
行動し続けた先に、彼女の描く希望が存在していることを夢見て、諦めかけたもう一歩を踏み出していこうと思う。
慌てず、諦めず、ゆっくりと、目をみて。
この風、止めないで。これからも、ずっと。
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