泣きたくなったから夜中にドーナツ食う物語
他人に勝手に期待して、勝手に失望する。 20歳になった今もその過ちを繰り返している。 京子自身がもう”それ”に飽き飽きとしていることを、まなかは親友として、痛いほど理解していた。 いきなりのライン電話、午前2時、踏切も望...
他人に勝手に期待して、勝手に失望する。 20歳になった今もその過ちを繰り返している。 京子自身がもう”それ”に飽き飽きとしていることを、まなかは親友として、痛いほど理解していた。 いきなりのライン電話、午前2時、踏切も望...
「有頂天家族読むとさ、京都行きたくなる」 「わかる。ていうか、森見登美彦作品すべてに言えるよね」 土井(どい)くんは今日もセクシー。 今日は華の金曜日。 仕事がなかなか片付かない私を見かねて、彼からご飯に誘ってくれた。 ...
男子高校生のたろうがスマホの画面を見ると、6時55分。 いつもの目覚ましの時間の5分前、うんいい感じ。 でもYOASOBIは聴きたいから、みゅーじっくアプリを開く。 頭はすっきりしていた、カーテンの隙間から天井にこぼれ落...
「死んだ人間にはぁ、かなわないさ」 ひとりごとのつもりだった。今までの人生も全部、自分以外関係なくて、ひとりごとのつもりで生きてきた。 「かなわない? 死んでる人と何を勝負しようっていうの」 ぼくの耳はすごくいい。だ...
「姉ちゃんって、小学生とか中学生の頃ってどんな感じだったんですか?」 とか、他愛もない話をしていた。 朝6時の公園で、気怠げに葉巻を吸う二人の先輩は、葉巻よりも小さい子供とか、読書とかが似合いそうな朴訥(ぼくとつ)な感じ...
みやこは、みにくいモノが、この上なく好きだった。 だから、三日月も、曇り空も、男の子も、恋の感情も、とてもとても好き。 「みとさん、好きです」 「ぼくは好きじゃあないなあ」 みとさんは、同じ大学の一つ上の先輩。 よく怒り...
かなはガッキーとか、田中みな実とか、美しい人が好きだった。 2個上で、今はもう大学生になってしまったダンス部のかおり先輩がインスタに載せる、美しいカフェやレストランの写真が好きだった。 そして、瀬戸内寂聴さんの本に綴られ...
「愛ってなんだろう」 学校からの帰り道。僕とみー君は家が近いだけあっていつも一緒に帰り、そしてよく遊ぶ仲だ。小さい頃からそれぞれの家を行ったりきたりしていて、今ではおかえりと言われるまでになった。しゃがみ込んでタンポポ...
あの日から、3年。 過去をきちんと清算するために、まなかはあの日のことを思い出すことを決意した。 忌まわしきあの事件の日を。 「でもまなかは胸あるからいいもんね」 親友だと思っていた京子から言われた言葉に、まな...
「りんごって、めっちゃエッチじゃない?」 あきちゃんの長い髪の毛からは、とれたてのりんごの香りがする。 「え、それめちゃめちゃキモいから私以外に言わない方がいいよ? てか私にも言わない方がいいよ?」 こちらを絶対零度の眼...