新新消えいのフレンドリスト
年を重ねるごとに友だちは減っていって、ぼくはそれを健全なことだと感じていた。 友だちが減った、というのは相応しい表現ではないのかもしれない。 絶交したわけでもあるまいし、LINEのフレンドリストだって、いつまでたって...
年を重ねるごとに友だちは減っていって、ぼくはそれを健全なことだと感じていた。 友だちが減った、というのは相応しい表現ではないのかもしれない。 絶交したわけでもあるまいし、LINEのフレンドリストだって、いつまでたって...
お店を出たら雨がザアザア降りで、がっかりした自分に一番、がっかりしたのだった。 雨はあまり好きではない。 でも雨が好きじゃない自分のことはもっと好きじゃない。 映画、言の葉の庭を観たとき、雨の捉え方が変わった気がして...
どきどきしない、というのは致命的だ。 頭でわかっていることと、心が一致しないことはよくある。 どんな合理的で理屈の通っていそうなことだったとしても、違和感を覚えたり、心が追いつかないなら辞めてしまった方がいいに決まっ...
書くしかないことはわかっているのだけれど、指が動かない。 昔は何でも書くことができた。 そこに恐れはなかった。 迷いがなかった。 自分を信じていたし、自分の言葉がきちんと伝わることを疑わなかった。 でも、日々を過ごす...
最後のひとつぶだけを残すみたいな、そんな中途半端な美しさに酔っていた。 人と違うことがかっこいいとか、 あえてという言葉をあえて使うとか、 何かを考えてそうで、実際は何も考えてないのを悟られたくなくて、一応意味ありげ...
原田マハ著の「さいはての彼女」を読んだ。 美しい日本の景色と、ハーレーとツルと旅と人。 家でぬくぬくと本を読んでいただけのくせして、どこか遠くまで連れていってもらったような、そんな爽やかな気持ちよさがあった。 まるで...
親や兄姉を含む我が家の仲がいいかは、客観的には判断しづらい。 ぼくが中学生に上がるころには、家族みんなで旅行に行くことはなくなっていて、母と二人で出かけることが多かった。 母に連れられて一緒に山登りに行ったり、温泉に...
秋色の服をまとって、歩道で一人スキップしてみる。 新しいことが見当たらない。 10代だったころは、歳を重ねるごとに先輩や後輩などの自分の立場が変わって、どきどきして、嫌気がさして、もうたまらなかった。 コーヒーの中の...
え、本当にシラフ? ってきかれることが多かった、大学一年生のころ。 ぼくは一年間の留学を終えた後、すぐに高校を卒業して浪人生となって、一年間自宅での勉強に励んでいた。 留学中は言語の壁もあって、もちろん旧知の友だちも...
一人で歩く時の外の世界は、色をなくす。 そもそも、ぼくは一人で外にいることを好まない。 食材調達のスーパーや時間を潰すためのカフェなどは行くけれど、それ以外の買い物や個人の用事などは、すべてネットで完結する。 Ama...